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商標登録コラム

ウェブショップでの商品への相乗り防止

最近「ウェブショップで商品に相乗り出品され、非常に迷惑しているのでそれを防止したい」という問い合わせが多数あります。

私は、被服であれば「第25類 被服」で権利化すべきであると回答するのですが、「第35類 被服の小売等役務」でもよいのではないか、多数の商品があるので第35類がよいといったコメントを返されることが多いです。

さて、これには某ウェブショップでは第35類での商標権を元にブランド登録しても商品の相乗り防止ができてしまうというシステムを採用していることに原因があります。しかし、実際は第35類の小売等役務にそのような権限はありません。

分かりやすくするためにカメラを例に説明します。カメラは第9類に属する商品であり、カメラの小売等役務は第35類となります。第9類カメラの商標としては「NIKON、CANON、SONY、PANASONIC、OLYMPUS、富士フィルム」のようなメーカー名があります。

第35類カメラの小売等役務の商標としては「コジマ電機、ヤマダ電機、ケーズデンキ、ノジマ」があります。

さて、「第35類 カメラの小売等役務」を指定した「コジマ電機」という商標を権利化したとしても、店舗内で扱っているNIKON、CANONなどのカメラをコジマ電機以外で扱えなくすることができるでしょうか。当然できないですよね。

では「第35類 カメラの小売等役務」を指定した「ABCDEF電機」という商標権があるとして、この商標権者が「ABCDEF電機」というカメラを製造販売していたとします。他者は「ABCDEF電機」というカメラ(カメラ自体は同じ商品)を販売できるでしょうか。正規品であれば私はできると考えます。

第35類のカメラの小売等役務と第9類カメラは役務と商品の関係ですが、類似関係となります。しかしながら、第35類の小売等役務における商標の使用は、店舗の看板に使用する、店舗のかごに使用する、商品を入れる袋に使用する、値札に使用するといった行為です。商品名として商標を使用する行為、例えば商品パッケージに使用するといった行為は小売等役務における商標の使用ではありません。従って、そもそも第35類は商品名として使用するような行為を商標の使用として認めていないのですから、商標権に基づいて商標を使用している訳ではない自身の商品に対する相乗り行為まで第35類の小売等役務の権利範囲かというと、権利範囲とは言えないと考えます。

そして、先の「他者は「ABCDEF電機」というカメラ(カメラ自体は同じ商品)を販売できるか」という問題についても、「ABCDEF電機」以外の電器屋で商品名が「ABCDEF電機」というカメラを販売しても、他の電器屋は「ABCDEF電機」という商標自体を業として使用している訳ではないのですから侵害ではないと考えます。

この話には正規品であるかどうかという点が絡んでいますが、では正規品でない場合はどうかと考えるとさらにややこしくなってきます。しかし、そのような疑義が生じる時点でせっかく権利化する意義が薄れるのではないでしょうか。

従って、私は商品への相乗り行為を防止したいのであれば確実に相乗りを防止できるように、第35類ではなく商品ごとの商標権を取得することをおすすめします。少しでも知財にかける費用を抑えつつ、大きな効果は得たいという気持ちは理解します。しかし、他人を排除したいのであればしっかりと費用をかけて各商品の区分を保護し、自社ブランドを確立すべきです。

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