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意匠出願コラム

「関連意匠」とは?紛らわしいデザインから広い範囲で権利を守る制度について

関連意匠制度とは、ひとつのデザインだけでなく、そのデザインからさらに創り出された複数のバリエーション意匠に対しても保護を与える制度です。
関連意匠登録を行うことで、類似範囲を明確化したり類似部分の保護を強化できるといったメリットが得られます。

「類似意匠」から「関連意匠」へ

かつては、ひとつのデザインをもとにいろいろバリエーションデザインが作られた場合、ひとつの「本意匠」とそれに付随する「類似意匠」の形で設定登録されていました。
しかし、意匠権侵害訴訟が起こったときには本意匠は訴訟の対象となっても類似意匠は対象から除外されていたため、完全に保護されているとは言えない状態でした。

また、本来意匠権は先願主義となっており、新規性も要求されます。このことから、たとえ類似意匠制度があっても同一の出願人に対して類似意匠を2つ以上同時に保護することができなかった点も問題でした。
ひとつのコンセプトからバリエーション意匠が3つ4つと生まれたとしても、それらのデザインにも本意匠と同様に創作的価値を認めて保護すべきと考えられ、先願主義や新規性の例外として関連意匠制度が作られました。

関連意匠の登録要件とは

関連意匠の登録には、次の5つの要件を満たすことが必要です。

①本意匠と同じ出願人であること
登録を受けようとしている関連意匠と本意匠を出願した者が同一人物であるかどうかは、出願時ではなく登録時に判断されることとなります。

②本意匠に類似する意匠であること
自己が行った意匠登録出願またはその中から選択した本意匠に類似していることが要件となります。

③本意匠の出願日から意匠公報の発行日前までに出願されていること
関連意匠の出願は、本意匠の出願の日から本意匠の登録公報発行の前日までの間にする ことができます。このため、本意匠が登録査定を受けたことを見たうえで、これと類似する意匠を関連意匠として追加的に出願することができます。

④優先権の主張を伴う意匠登録出願が本意匠の場合
本意匠の意匠登録出願の日とその関連意匠の意匠登録出願の日とが同日である場合に限り、意匠法上の規定にかかわらず意匠登録を受けることができます。

⑤本意匠の意匠権に専用実施権が設定されている場合
本意匠や関連意匠のうち一部の意匠について専用実施権が設定された場合もしくは別々の者に対して専用実施権が設定された場合、専用実施権が及ぶ部分について2人以上の者に排他的独占権を与えることになってしまいます。そのため、本意匠や全ての関連意匠については同一のものに対して同時に設定しなければなりません。

関連意匠登録出願に際し、留意すべき事項とは

関連意匠登録出願をする上で、以下のことに留意しておく必要があります。

・類似意匠について通常の意匠登録出願をした場合、本意匠の記載の追加補正ができる
・関連意匠が本意匠に類似しない場合は、通常の意匠として出願すれば登録できる
・本意匠の存続期間が満了すると、関連意匠の意匠権も同時に終了する
・関連意匠を移転させる場合は、混乱を防ぐため本意匠と同時に移転させる
・関連意匠の意匠登録出願における手数料は通常の意匠登録と同じ料金となる

本意匠の存続期間の満了と同時に関連意匠の意匠権も終了する件について、1点注意すべきことがあります。本意匠の存続期間は原則20年ですが、この期間が満了する前に権利消滅する理由が登録料の未納や権利の放棄・無効審決の確定などの場合は、本意匠の消滅に関わらず関連意匠だけで存続させることが可能なことです。
本意匠が存続期間を終了すると、無条件に関連意匠も終了するわけではないことを理解しておきましょう。

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