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意匠出願コラム

「動的意匠」とは?動くおもちゃや形の変化するデザインを保護する制度について

意匠登録では、原則として一つの物品のデザインに対し一つの意匠登録出願が必要になります。

しかし、ロボットから飛行機へ変形、または分離して合体するようなおもちゃや、蓋を開けると中から人形が飛び出すびっくり箱のような、一つの製品で全く異なる形状となるデザインのコピーを防ぐため意匠登録を検討した場合はどうなるのでしょうか。
2つ以上の形態や模様に変化するデザインを保護するために、それぞれの変化で現れるデザイン毎に意匠権を取得する必要があれば、たいへん煩雑な手続きとなってしまいます。

こうした物品の機能に基づきデザインが変化する(動く)工業製品のデザインを、ひとつの出願にまとめて登録できる便利な制度が「動的意匠制度」です。

動的意匠制度とは

製品に内蔵した機能やギミックに基づき、静止状態から予測の付かない形状、模様や色彩へと変化するように仕組まれたデザインを、変化の前後を一つの出願で保護することが認める制度が、「動的意匠制度」です。

先に上げた変形するロボットのおもちゃは、代表的な例として挙げられます。
さらに身近なところでは、二つ折りで開閉する携帯電話や、上蓋が開閉するグランドピアノなどの意匠も、動的意匠として登録され、変化する両方のデザインで権利が保護される可能性があります。

動的意匠出願登録の方法は?

それでは、2つ以上の形態や模様に変化する製品のデザインを、動的意匠として出願登録する場合の手続きにはどんなものがあるのでしょうか。

動的意匠制度出願に関する関連条文としては、意匠法6条4項が挙げられます。
”意匠に係る物品の形状、模様又は色彩がその物品の有する機能に基づいて変化する場合において、その変化の前後にわたるその物品の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合について意匠登録を受けようとするときは、その旨及びその物品の当該機能の説明を願書に記載しなければならない。”

つまり、動的意匠出願では、特許庁に提出する願書に、動的意匠であることを記載する必要があります。この記載がない場合は、意匠法第7条で定められた「一意匠一出願」に反することになり、審査の拒絶理由に該当します。

また、動的意匠における意匠の変化には、物品の機能に基づいていることが求められるため、その機能の説明を願書の「意匠に係る物品の説明」欄に文章で記載が必要です。
そして、変化する前後の状態で、それぞれのデザインがわかるような図面を作成しなければなりません。

しかし、こうした願書に記載する項目の追加の手間を加えても、例えば観音開き(フレンチドア)タイプで意匠登録する場合、扉を閉めた状態のデザインと、庫内の機能性を考えた扉を開けた状態のデザインの両方を一度の出願だけで登録できるのは、出願するメーカーにとっても大きなメリットとなる制度といえます。

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