自分の商標を他人に先に出願・登録されたときの対処法
「自分が使っている店名や商品名を、知らない会社に商標出願されていた」「商標権者から使用をやめるよう警告書が届いた」。こうしたご相談は、弊所でも毎年少なくありません。
日本の商標制度は「先願主義」です。先に使っていたかどうかではなく、原則として先に出願した人が商標権を取得します。そのため、使用していても出願していなければ、他人に先に出願されてしまうことがあり得ます。
ただし、先に取られたら終わり、というわけではありません。状況に応じて取れる手段がいくつかあります。
1.まず状況を確認する
特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)で、相手の商標を確認します。確認すべき点は次のとおりです。
(1)出願中なのか、すでに登録されているのか
(2)登録されている場合、登録日と商標公報の発行日
(3)指定商品・指定役務が、ご自身の商品・サービスと同じか似ているか
(4)商標が同一か、似ている程度か
指定商品・指定役務が全く異なる分野であれば、そもそもご自身の使用に影響しないこともあります。慌てて名称を変える前に、まずここを確認してください。
2.相手がまだ出願中の場合
出願中であれば、特許庁に「情報提供」をすることができます。相手の商標が登録されるべきでない理由(例えば、ご自身の商標が需要者の間で広く知られていること、他人の商標を不正な目的で先取りした出願であることなど)を、証拠とともに審査官に提出する手続きです。
情報提供は審査の参考資料として扱われるもので、必ず拒絶されるとは限りませんが、審査前の段階で取れる有効な手段です。
3.すでに登録されている場合
(1)登録異議の申立て
商標掲載公報の発行日から2か月以内であれば、誰でも登録異議の申立てができます。期間が短いので、気づいたらすぐにご相談ください。
(2)無効審判
登録に無効理由がある場合(他人の周知な商標と紛らわしい、不正の目的による出願である等)は、無効審判を請求できます。理由によっては登録から5年を過ぎると請求できなくなるものがあります。
(3)不使用取消審判
登録商標が、継続して3年以上、日本国内で使用されていない場合は、取消しを求める審判を請求できます。先取り目的の出願では、実際には使われていないことも多く、有力な手段になることがあります。
4.ご自身が使い続けられる場合もある(先使用権)
相手の出願より前から、不正競争の目的なく使用していて、相手の出願の時点でご自身の商標が需要者の間に広く認識されていた場合には、「先使用権」により使用を続けられることがあります。
ただし、「広く認識されていた」ことの立証が必要で、ハードルは低くありません。売上資料や広告、取引先とのやり取りなど、使用の実績を示す資料は日頃から残しておくことをおすすめします。
5.話し合いで解決する方法
審判とは別に、相手と交渉して商標権を譲り受ける、使用の許諾(ライセンス)を受ける、といった解決もあります。相手の目的や商標の使用状況によって、どの方法が現実的かは変わります。
6.警告書が届いたときの注意
警告書が届いても、すぐに相手の要求どおりに対応する必要はありません。相手の権利の範囲にご自身の使用が本当に含まれるのか、相手の登録に取消・無効の理由がないかを確認してから対応を決めるべきです。回答期限が書かれていることが多いので、早めに弁理士へご相談ください。
7.いちばんの対策は「先に出願すること」
ここまでの手続きは、いずれも時間と費用がかかります。事業で使う名前やロゴが決まったら、できるだけ早く出願しておくことが、結局はいちばん負担の少ない対策です。
弊所では、商標登録出願のご依頼をいただく場合、登録性の調査を5件まで無料で行っています。また、登録性が高いと判断した案件には全額返金サービスをご用意しています(条件は費用のページをご覧ください)。
すでに他人に出願・登録されてしまった場合のご相談も、お問い合わせフォームから承っております。

















